腕試し
−うでだめし−



 ――ある日の午後。
 アタシは旅の途中、ぶらり立寄った人口二百人ほどの小さな村にお世話になっているの。村の東西に街道が貫いて、王様の住むお城の在る東側が特に賑わってるかな。北には深い森があって、南には酪農農家が放牧をしてるのー。かわいーんだよー!織物をする為の羊がほとんどで、2割くらいが乳牛なんだって。見渡すとね、一面ふあふあの、もこもこなのゥ★
 で、東の街道と交差するように、斜めに南西へと小川が流れていて、生活用水のほとんどはここで賄われているんだって。村と周りを遮る囲いとかはなくて、全体的に見通しは良いよ。お城とも二日と離れていないこの村は、都会の喧騒とも無縁で、結構快適に過ごせる、言わば隠れ家的スポットって奴ね。…永住するならネ。アタシは滞在三日目、宿屋のおばちゃんとも仲良しになっちゃった♪
 そんなある日、事件がおきたの。…血も凍るような惨劇が…。
「あちゃ〜、こりゃあ人間のやることじゃないわ〜」
 現場は村の南東、小川を渡った先の村外れの農家。羊小屋は食い散らかした羊の残骸と飛び散った血しぶきが壁を覆ってて、家屋部分はえぐられたように半壊してて、家の内部があらわになってた。見るからに、超ヒサン!当然と言うか、残念ながら、この家の住人の死体も八つ裂きにされた状態で見つかっていたの。どう考えても人間ワザじゃあないワね。で、村人からの火急の報告を受けた王様は、第一王子のリチャードを筆頭に、配下の精鋭十人で討伐隊を組織してこの村に派遣したってワケ。
 アタシは一人旅で偶然立寄っただけで、事件解決なんて報酬もないし、全然興味なかったんだけど、ほら、王子様とお近づきになれるチャンスなんてめったに無いじゃない?そんなこともあって、討伐隊に興味はありあり。それに、お祭りは血が騒ぐって言うか、騒ぎは参加することに意義があるじゃない?ね、おとーさん(モー娘。?。
 そんな訳で村の使者が旅立った翌日には、さっそく討伐隊が到着予定。村は騎士達の到着を心待ちにし、娘たちの話題は王子様のことで持ちきり。昔娘だったお母さんたちやお婆さんまでが、一目王子様を見ようと集まっていたって、それどころじゃないと思うんだケド?もちろんアタシは誰よりも早くお目にかかろうと、街道の途中で待伏せして、追っかけしているの。…まとわりついてるようにしか見えなかったカモだけど。
 王子様は噂どおりにお綺麗な方で、だけど、しなやかな筋肉のつき具合はうっとりしちゃうほど♪それどころか、御付きの騎士さんの中にもイケメン君がちらほら…。あわわ、目移りしそう(ぉ。ってことで、狙った獲物に早速アプローチ♪
「ねーねー♪アタシ、りきゅあ〜★王子さまでしょ〜ぉ♪」
 アタシは王子様の白馬に並んで歩きながら、見上げるようにして話し掛けた。王子様は微笑んで、いかにも、と短く答えてくれた。そして歩を止めようとした王子様を、並んだ赤毛の馬のオジサンが、止まらぬように、と無言で促す。いかつい、モミアゲから繋がったアゴヒゲの、赤ら顔のオジサン。大柄で体躯もいいから、きっと「赤鬼」とか呼ばれているに違いない、ッてゆーか、命名「赤鬼」!討伐隊の中では一番の老齢で、騎士隊長かご家老かって感じ。とにかく、何か偉そうなのがヤな感じ。
「お嬢さんは村の娘さんかな?」
 王子様はアタシを気遣ってか、とりなすように話し掛けてくれた。アタシは明るく否定。
「ぶっぶー!残念ショー★正解は、アナタのお役に立ちたい冒険者のりきゅあちゃんでした★悪い奴退治しに行くんでしょ?アタシ、お役に立っちゃうと思うよ♪」
 それを聞いた騎士の中からは苦笑が聞こえて、赤鬼は参ったといった感じで額を抑えて、呆れた声で言うの。
「嬢ちゃん、これは遊びじゃないんだ」
 そんな時でも王子様は涼しげな笑顔♪でも次の一言はちょっとヤな感じ。
「気持ちは嬉しいけれど、お嬢さんを危険にさらす事は出来ないよ。たとえ冒険者とはいえ、所詮はうら若き乙女。敵が分からない以上、君を守りながら戦うのは余りにも非効率だ。わかっておくれ。村を守りたいという気持ち、それだけ頂いておくよ」
 カっチィーン!と来たアタシはたとえ王子様といえど噛み付いちゃうんだから!ううん、こんな奴は玉子呼び捨てで十分だぅ!(玉子じゃないから!(笑)
 女だから、子供だからって差別されるのはおかしいもん!アタシはソロで、たまには臨時パーティに参加したりしたけど、ちゃんと自分の身は自分で守れるのに!ちゃんと戦えるのに!アタシはこの手の差別は大っ嫌い!
「なんでよー!いくら王子だからって、言って良い事と悪い事があるでしょお!なんで女はダメなの?何で子供は足手まといなの?アタシがちゃんとできるかどうかも知らないのに、何でそう決め付けるのよー?なんでー?なんでー?なんでー??」
 まるでダダッコのようにしつこく、なんで?、と迫るアタシ。(え?ダダッコ?認めません!)納得できないものは納得できるまで突き詰めないと気が済まないもん。
 確かに、どこから見ても華奢で純情可憐で、箸より重たいものなんて持ったことのなさそうな乙女のアタシは戦いには不向きだけどさ(ぉ、そんな女の子らしい(ぉぃ、可愛らしい(コラ)外見で勝手に決め付けられちゃたまんないわっ!と、王子に詰め寄っている間に、村の東門が見えてきちゃった。
 事件が起きるまでは特別に囲いもなかったのだけど、今では急ごしらえの簡単な柵で村を囲み、東西南北の四方に、これまた簡単な門を設けていた。村の入り口にはほぼ全員じゃないかと言うくらいの村民が集まり、討伐隊の姿が見えると、どっと大歓声が沸きあがった。…このペースじゃ王子からお返事をもらえないうちに村に着いちゃうじゃない!と思っていたら、一人のイケメン騎士がアタシに肩入れしてくれた。ちょっと線の細い中性的な美形の騎士様★きっとアタシの美貌に一目ぼれしたに違いないわ(ふふん(ぉ。
「王子、彼女の言い分ももっともです。彼女は私が責任を持ちますので、どうか討伐隊にお加え下さい。王子は来る新時代の国家を担うお方、男尊女卑の古きしきたりに囚われるだけでなく、新たな男女の在り方について考える良い機会にもなりましょう」
 なかなか話のわかる美形騎士様★柔らかな語り口も、優しい微笑みも、とても知的に見えてしまうわ♪そんな美形騎士様の助け舟の後にすかさず赤鬼が王子に耳打。
「ここはひとつブランマージュに娘を預ける事に致しましょう。この調子で続けられたら、村民の歓迎に応える事もままなりませぬぞ!」
 むっかーっ!その場しのぎかぉー!ちゃんと聞こえてるんだぞー!…と思いつつも、口に出す間も与えず王子が決断しちゃった。
「わかった。ブランマージュ、彼女のことは君に任せよう。レディに失礼のないようにな」
「お任せください」
 きぃーっ!それが失礼だってのよー!…とまたも言えないうちにブランマージュと呼ばれた美形騎士様がアタシに手を差しのべてくれたの。
「歩き通しでは大変でしょう。さ、お手をどうぞ」
 彼はアタシの手を取ると、ひょいと馬上に引き上げ、自分の前に乗せた。きゃ〜、何かお姫様みたい♪考えてみれば、こんな格好で馬に乗ったことなんてなかったなぁ。
「僕はジョン・ブランマージュ。好きに呼んでくれて構わないから」
 優しい微笑み…頭の古臭い王子よりもこっちの方がいいわ(ぉ。
 そんな訳でアタシは討伐隊に無事参加、厄介払い(ムカっ!)のできた王子も無事、村民の歓迎に応えることが出来た。例の一件が起きてから、三日目のことネ。国王の迅速な対応に恐れをなしたのか、事件の再発はまだなかった。
 討伐隊の一行は村長に連れられて、事件当日のままの状態で保管されてた現場を視察した。状態はほぼ当時のままで(もちろん哀れな住人の姿はないよ。事件発覚の報を受けた国王が、早馬で調査隊をよこして、現場検証と哀れなる残骸の処理は済ませていたから)、唯一違っているのは、赤一色だった羊小屋の壁…血が乾いて真っ黒になってた。そして一行は村に滞在する間住む事になる、村民会館とでもいいたげな、八十人は収容できるであろう、村一番の建物に案内された。建物は村の中心にあって、四方の門とも距離に差がないことが一番の理由だった。らしいけど、定住者がいないと言う方が最大の理由だと思うんだけどナ…。  この建物は催し物に使われることをメインに建てられていて、建物の前には中央広場があって、隔てた向かいには酒場でしょ、で、周囲にはそれぞれお店が軒を連ねているって感じ。正直、村で一番人の通りがあるところかな。
 討伐隊宿舎に入ると、村長から簡単な事件の情報提供、施設の説明があって、村長はその場を退場。施設の説明はともかく、事件の情報といっても殆ど分からないんだから、詳しく説明できる訳がないのよね。
「よし、それではこれから任務について説明する」
 王子が一声掛けると、自然と三人三列の隊列が組まれ、赤鬼は王子の右脇に控えている。アタシは行き場がないから、真ん中の列の一番後ろにちょこんと座ってみた。…誰も触れてくれない(しく。
 今回の討伐作戦の本筋はもう決まっていて、王子と赤鬼を含む第一隊の六人が夜間、ジョンが率いる第二隊の五人が昼間の警護につくということだった。作戦内容を告げた王子に、赤鬼が続ける。
「作戦期間は一ヶ月。その間に時間が再発しないようであれば、一旦引き上げ様子を見ることになる。何か質問はないか?なければ解散とするが?」一息置いて、「では、第一隊は夜に備えて仮眠!第二隊は昼の警護を怠るな!以上、解散!」
 討伐隊は二手に分かれて、第一隊は王子と赤鬼を除いて横になり始めていた。第二隊はひとまず宿舎の前の広場に集合していた。アタシはもちろん保護者のジョンと一緒にいなくちゃいけないから(らっき★)、ジョンに付いて回っていた。ジョンは王子に少し休憩してから巡回に出ると伝え、広場に集まる第二隊の元へ。第二隊と合流すると、まずはジョンが口を開いた。
「さ〜って、王子と赤鬼の目が無くなった事だし、ここからは気楽に行こうか」
 待ってましたとばかりに第二隊の面々がぞれぞれ伸びをしたり、楽な姿勢になった。ジョンも少し段差のある場所に腰を下ろし、アタシも隣に腰を下ろした。
 ん〜、知られざる騎士団の裏側?
 なんて思ってると、思い出したようにジョン。
「それじゃあ、一ヶ月の間、一緒に生活する仲間を紹介するよ」
 そう言って彼は一人ずつ丁寧に紹介してくれた。
 金髪、短髪、短気な熱血漢で結構イケメンのジョシュ。彼は実質、現騎士団での実力No.1だそうで、城下街では私設ファンクラブまであるんだって。ファンの子達からすれば、硬派一途なところが素敵なんだってサ。身長ほどもある両手剣、ツヴァイハンダーを使う。担いでるけど、めっちゃ重そう。
 細身でプラチナブロンドのサラサラロン毛がチャームポイントのシグルーン。彼も王子同様、綺麗系のイケメンで、詩を吟じることが趣味なんだとか。かな〜りナルシス入ってるンですけど…。細身で反った片刃の剣、シャムシールを使う。
 お調子者でナンパなロイド。本当に騎士の戒律守ってるのか不安なくらいのナンパ者。…絶対ちょろまかしてるに違いない(ぉ。だけど、甘いマスクと巧みな口調で交渉術のプロフェッショナル。…彼に泣かされた女性はきっと星の数ね(ぉぉ。騎士なのに小剣の二刀流。微妙に似てるけど、一本は怪しげな魔力を発している様な…気のせい?
 最年少十七歳の期待のルーキーのニコル。めちゃくちゃ童顔で、くりッとしたオメメがお姉さん心を刺激する感じ。ニコルくぅん★ッて感じ。…アタシの方が年下なんスけど(▽;。とっても熱心で真面目。…融通が利かないタイプかも。何の変哲もない長剣を持ってる。支給品かな?
 そして知的で、中性的な魅力の美形騎士のジョン。ジョン以外で一番信用の置けそうなジョシュの言葉を借りれば、文武両道の勇なんだって。アタシから言わせれば、さらに色才兼備と恋人合格、結婚希望もつけちゃうな★(マテ。とにかく優秀で、王子や赤鬼のお墨付きの軍師なんだって。そのくせ堅苦しくなくていい感じ。やっと騎士らしい武器、十字を象ったシンプルな騎士剣、クレイモアを使う。けど、レイピアとか持ってたら、絶対こっちが王子様に見えるのよ!
 一応知っておいてと紹介されたのは、言わずとしれたこの国の第一王子のリチャード。英才教育のおかげで指揮官としての才能は抜群。…だけど、古臭いしきたりやら決まりごとにウルサイ。綺麗系イケメンでプチマッチョ、何より大金持ちなのにもったいない。とても実用的とはいえない宝剣を下げてたっけ…指揮棒?
 そして、やっぱり呼ばれていた赤鬼ガッシュ。建国以来王家に仕える譜代の臣…の末裔。領土が小さく防戦続きのこの国にあって、歴戦の武勇を誇る。戦場で仁王立ちする赤い甲冑姿は【鬼の防壁】と他国から恐れられるほど。たしかに近隣諸国でよく聞いたわ、この名前。身長の倍くらいある長さの斧槍を持つ。…イメージ的には金棒持っててもらいたい感じだけど。って、ん?近隣で他国の騎士の噂って、戦争が近いってことじゃない?ねぇ?
 ま、極端に年齢が違うと分かるニコルと赤鬼以外は、大体みんな落ち着いた二十代後半と言った感じ。歳の差もいい感じ(何?
 みんなの紹介が済んだ所でアタシの簡単な自己紹介をして、話題はアタシの腕前の話に。まあ、自然の流れよね。ね?ね!!
「そうだ。りきゅあちゃんの腕前を知っておかないといけないね」
 ジョンがそう言うと、ロイドがすかさず、対戦相手はニコルだ!と言葉を繋げた。ジョンもそれに同意して、アタシ達二人にちょうど長剣くらい長さ(1m弱)の枝を渡した。真剣勝負をするわけにはいかないからという応急処置で、木の枝を木刀代わりにするんだってさ。相手のニコルは実戦経験こそないものの、同期との訓練試合では負け知らずなんだって。ちょっと楽しみ★ッて、アタシ剣って苦手ジャン(ぉ。
「ちょっと待って!アタシの得意武器は剣じゃないもの」
 そう言って、アタシはちょっと考えてから枝を中央から二つに折ると、髪を結わいていたリボンを解いて、腕に枝を結びつけた。それも、左右両方とも。コブシ三つ分くらい突き出た枝を爪に見立てることにしたの。
「ぅっし、これでOK★ニコルくん、ヨロシこ♪ぺこりぃー★」
「はい。よろしくお願いします!」
 ぺこりとゴリエ風(誰(笑)に頭を下げるアタシに、きっちりと頭を下げる真面目なニコル。何の型もなく両手をぶらつかせるアタシ(半分踊ってる(ぉ)と対照的に、ニコルは両手で中段に構え、機会を窺っている。さすがに迂闊な動きを見せないニコルを挑発してみるけど、やっぱり乗ってこないし、アタシが不意にがばっと両手を上げてみても動じない。ふらふら〜っと距離を取ってみると、彼が中段から上段に切り替えるモーションに入った。
 アタシは見逃さなかった。すかさず一歩踏み込んで、着地のその足で後ろに飛び退く。
 ニコルも飛び込んだアタシめがけて、枝を振り下ろしていたケド、上段から振り下ろした枝は一瞬前にアタシがいた空を裂いて、土にめり込んだ。アタシはそのまま跳ねるようにして、着地したその足で再び前に飛び込んだ。よっゆ〜★思わず声が出ちゃう♪
「にゃあ★」
「くっ!」
 二コルは振り下ろした枝を切り返し、空中で身を丸めるアタシに、下段から振り上げたけれど、ニコルの枝は、クロスしたアタシの枝で防がれていた。アタシはそのままニコルを飛び越そうと思ったけれど、次の瞬間にはニコルの童顔からは想像できない一喝と力で、そのまま跳ね上げられてしまっていた。
 思い切り枝を振り上げてバランスを崩すニコルと、空中で身を翻し、ニコルに背を向けて四つん這いに着地したアタシ。枝を片手に持ち直して一瞬早くバランスを取り戻したニコルが斬りつけようと身を乗り出してきたところで、アタシは土を後ろ足に蹴り上げた。
「てぃっ!」
 蹴り上げられた土は、思い切りニコルの顔を捉えていた。不意の目潰しにプチパニックなニコルをよそに、アタシは流れるようにコロンと身を転がしてニコルの左側に移動しつつ、上体を起こしざまに左腕で彼のヒカガミを捉え、まさに彼はヒザカックン状態に!左膝から崩れ落ちる彼の背後で身を翻しながら立ち上がり、鞭のようにしなった右腕を彼の首に巻きつけた。我ながら流れるような連携ワザ…惚れ惚れしちゃう♪
「!」
 無言のうちにぴたりとニコルの動きが止まる。じっと見つめていたジョンの唇が静かに動いた。ン、セクシーな唇(ぉ。
「…チェックメイト。お見事、完敗、恐れ入った」
 語呂よく言葉を並べながら、両手を肩の高さで、参った、といった具合にひらきながらジョンは立ち上がった。その場で拍手をしながら続ける。
「疑っていた訳ではないが、まさかこれほどのものとはね。いや、上出来。今の手合わせ、赤鬼の鼻を明かすこともできたな」
 ジョンが言い終わるのが早いか、どこからか声が被って来た。
「誰の鼻を明かすのだね?ブランマージュ!?」
 ジョンの背後から割り込んできた重厚な声は、まさしく赤鬼のものだった。もちろんその隣には王子の姿もあった。ジョンは一瞬引きつったように見えたけど、すぐに冷静を装い振りかえる。
「こ、これは王子に赤鬼ガッシュ殿…。いつからそちらに?」
「うむ。ロイドが囃し立てる声が聞こえたものだから、見ておこうと思ってな」
 王子はそう言ってアタシの方に歩み寄ると、目の前で膝まづいた。
 え?なに?告白?求婚〜?(違。アタシにはジョンという、心に決めた人が…(ぉぉ?
「確かに君の腕は見させてもらった。君に対する無礼の数々を許して欲しい」
 そう言う王子に従い、ここにいる六人の騎士も同様に膝まづいた。
「きゃ〜!これって下僕宣言?(違」
 思わず口にしてしまったものの、誰も突っ込んでくれないし、笑っても、呆れてもくれない。王子がいなければロイドあたりが突っ込んでくれそうなんだけどなぁ、と思いつつ気を取り直す。
「…って、ンなわけないかァ。にははは。そこまでしなくってもいいよぉ、もう怒ってないし。過ぎたことは、すぐ忘れちゃうし★」
 そう言ってアタシは王子を立たす。王子を見下ろすのは悪い気はしないケド、むしろ気持ちいいかもだけど、どっちの立場であれ、主従関係は苦手なのよね。
「無礼を許してくれたこと、討伐隊に参加してくれたこと…感謝する」
 育ちのせいか、性格なのか、何かと見下した言い方をするなぁ、この人。そう思いながら、何かリアクションしなきゃと思った矢先、王子が喋りだした。
「さぁ、では各門の視察に行こうか」
「御意」
 あー!だーぅ、ンもぅ!勝手に進めんなよぅ!アタシが主役だぞぅ!
 と、若干の個人的なわだかまりを残しつつ、アタシは討伐隊の一員としてようやく認められたの。そう、アタシはまだ見ぬ化物討伐隊の一員になった。これからひと月の間、イケメンに囲まれて暮らす生活が約束されたのよぅ★ヽ(〃▽〃)ノ(ゥぉぃ!
 






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