瞬炎
−またたび−



 それは幼き日の記憶。
 時は昔。
 場所は魔界の外れ。辺りはまさに荒れ野原。一本の木、二棟の小屋以外には留まるものはない。
 天城より堕ちし天使の小屋。煌びやかなる天上の城からは想像もつかないほど、質素で小さき小屋。小屋は二棟からなる。
 一つは多少広めに作られていて、応接間と二つの寝室、居住に必要に水周りが備わっている。
 もう一つは多少小さめで、エントランスをかねた広間と、天井と床に魔法陣の描かれた作業部屋の二部屋からなっている。
 エントランスにはカウンターがあり、カウンターの手前に幾つかの椅子が並べられ、カウンターには武器や鎧のイラストが描かれた紙が束ねてある。カウンターの奥から、作業場に繋がっていた。
 小さめの小屋の入り口の上には、こんな看板が掲げられていた。
 『辺境の鍛冶屋』
 そこは辺境であった。
 果たして、辺境であるかも定かではない魔界の辺境。この地を踏みしめたものは住まいし者と、その客くらいなもので、流浪の旅人でさえも訪れないほど、魔族の住まう土地から離れた辺境の地。
 空は赤く晴れ渡り、緑色の雲が風に流れる。黒き太陽がさんさんと、灰色の大地を照らしていた。
 黄金の木の葉を蓄えた黄金の樹は、その枝からぶら下がる人形の揺れにあわせて、がさがさと合唱していた。
 黄金の樹の下には、枝からぶら下がる人形に向かって、右手、左手と拳を繰り出す子供の姿があった。人間の年齢でいうなら、四つか五つくらいだろう。明るい赤紫の髪に、白いネコ耳を生やし、丈の短いワンピースからは白い尻尾がちらちらと見え隠れしている。子供の繰り出す拳は、宙を舞う人形をかすりもせず、半ばムキになって叩きつけていた。
 ピエロのように、愉快な顔をした人形は、両手両足の先、それから鼻の頭に紙風船が付いていて、子供はそれを狙っているようだった。
 二棟ある内の広い小屋の方から、全てを吸い込んでしまいそうな漆黒のローブに身を包んだ、真白な長髪の青年が姿をあらわした。人間の年齢でいうならば二十代半ば位だろうか。青年は小屋から少し出た所で立ち止まり、子供を呼んだ。
「りきゅあー、ピエロ君はやっつけられたかなー?そろそろ食事にするから、戻っておいで!」
 この子供こそが、幼き日のりきゅあであった。この頃から負けず嫌いだったりきゅあは、呼ぶ声にも振返らずに、宙を舞う人形に飛びついていた。
「まって!ま〜だぁー!!」
 りきゅあの返事は半べそだった。
 青年はやれやれと言った感じで、指を鳴らす。すると、五つの小石が空中に現れ、ピエロの五つの紙風船を一斉に割った。それと同時にりきゅあが振返る。涙目で無言で青年をにらんだ。
「さ、ピエロ君はお休みだ。りきゅあもちゃんとご飯を食べてから、お昼寝をしようね」
 りきゅあは完全にぶら下がっただけのピエロを蹴り上げると、青年の元へ走っていった。
「ねー、後もうちょっとでネ、割れたんだよ!ホントだよ!」
 青年は笑いながら、りきゅあの背を押して小屋に入れ、用意しておいた昼食をとらせた。
「アー!テンちゃん、またコレいれたァ!アタシ、ヤなのにぃー!!!」
 そう言ってりきゅあは、スープに入って月光虫のサナギをスプーンで投げ捨てるが、青年の髪がふわっと動くと、サナギは元のスープの中にと戻って行った。
「好き嫌いをしちゃダメだと言っているだろう?ちゃんと食べないと、りきゅあの大好きなお姫様にはなれないよ」
「コレたべたら、おひめさまになれる?」
 子供はスープに戻ってきたサナギを突きながら、青年を上目遣いで見る。
「ちゃん言うことを聞いて、いい子にしていたら、テンちゃんがお姫様にしてあげる。約束だよ」
「やくそくはネ〜、ゆびきりなノ!」
 二人は指切りを済ますと、にぎやかに昼食を済ませた。
 食事を終え、二人が食器を片していると、突然、戸を叩く音が響いた。りきゅあは青年の足元でぱっと明るい顔になる。
「おきゃくさんかなァ!いってくるッ!」
 りきゅあが戸を開けると、全身を緑の鱗で覆った、鎖帷子のトカゲ男が立っていた。足元のりきゅあを見下ろし、先が二つに割れた舌をちろちろと動かす。
「んぁ〜?ガキか」
 リザードマンの男は怪訝そうに言って、子供の目線までしゃがんで続けた。
「お嬢ちゃん、鍛冶屋のデュランダルはいるかな?」
「うん!まってて!」
 それだけ言うと、リザードマンを置いて小屋の奥へと走って行った。こう叫びながら。
「テンちゃ〜ん、とかげさんのおきゃくさんだぉ〜!」
 りきゅあを連れて、奥から青年が姿をあらわす。来客を迎える優しい笑顔だ。
「わざわざ辺境までようこそ。私が辺境の鍛冶屋、デュランダルです。創りたい武器のイメージは決まってますか?」
 そう言いながら、デュランダルは客を隣の小屋へと案内した。
 この青年こそが、幼少のりきゅあを男手一人で育て上げた、育ての親のテンペスト・デュランダルその人である。聖界に産まれ、世界で最初の武器を創造した罪で魔界に堕とされたのだった。創造を担う聖族の者が、魔族の破壊に匹敵する『命を奪う物』を創ったことが、聖族を震撼させたのだった。とは言え、デュランダルはその罪を負い聖界を追われたが、他の聖族の手によって『命を護る物』としての武器は創り続けられ、時代が経つにつれ武器は進化し、戦争を壮絶にさせていくことになった。
 魔界に堕ちた聖族の噂はすぐに魔王の耳へと入る。そして、デュランダルの元に遣わされたのがりきゅあの父であった。りきゅあが産まれる数百年も昔のことである。その数百年で築いた固い友情から、訳ありの娘・りきゅあを預かることになったのだ。りきゅあの実の両親は、生後すぐのりきゅあをデュランダルに預けて、間もなく亡くなっている。
 『辺境の鍛冶屋』の店舗に移り、デュランダルはリザードマンとカウンター越しに向き合った。りきゅあはデュランダルの隣で、カウンターに半身を乗り出している。リザードマンはこの若い青年を前に、信じられないといったトーンで言った。
「ずいぶん若く見えるが、腕は確かなんだろうな?魔都で噂の相場どおり、大枚はたいて生涯最高の一本を作りに来たんだからな」
 デュランダルは特に驚く様子もなく、営業スマイルのままだ。こんな台詞は、魔界に堕ちて数百年の間に、何度も耳にしていた。
「魔都の相場ですか?私の方から提示したことは一度もないんですけどねぇ。幾らぐらいになってます?」
 おどけた調子で聞いた質問の答えは、ちょっとした国を建国できるくらいの金額になっていた。聞けば、このリザードマンも境界への侵攻で数々の武勲を上げた英雄で、ガルデュルの名は境界の一部の地方では有名なのだそうだ。
「さて、お話はこれくらいにして、早速作業にかかるとしますか。それでは私と手のひらを合わせてください。あなたの武器のイメージを頂きます。武器のことだけイメージしてくださいね。余計なことを考えると失敗の元、失敗してもお金は返しませんよ。…では、いきますよ」
 デュランダルの掛け声と共に、合わせた二人の手のひらが溶け合うようにその境がなくなり、しばらくすると、それぞれの手に戻った。ガルデュルは酷く疲れた様子だが、デュランダルは満足げだ。
「なるほど、さすが歴戦の英雄だ。確かにイメージを頂きました。これなら私もいい作品が出来そうですよ。完成は夕暮れ前を予定しています。それでは早速作業に取り掛かりますので、お待ちくださいな」
 そういうと、デュランダルは奥の作業室へ消えていった。
 作業室は四方の壁に窓はなく、扉が閉まると部屋は暗黒に支配され、天井と床に描かれた、九芒星を二重の円が囲んだ魔法陣が怪しげな光を発した。
 辺境の鍛冶師はその中央に立つと、ちょうど天井と床の中央の高さで両手を向き合せる。すると、何もない空間から光の玉が現れた。金と銀、白と黒、赤、青、緑、灰、黄と九つの炎が入り乱れる不思議な光の玉であった。
 光闇聖魔火水木金土の九つの属性を持ち、それを自由に付与できる神秘の炎で、炎はそれぞれの竜の化身を封じた物とも言われている。千年に一度、一瞬だけ灯るところから瞬炎と言う名が付いたと言われている。聖界の創造者でも、この瞬炎を持つものは二人といない。それほどに珍しく、偉大な力なのだが、聖界以外ではあまり知られていない。
 天井と床の魔方陣はデュランダルの血で描かれており、瞬炎を隠すと言う役割と、想像力を増幅させる役割を持っていた。デュランダルの血の洗礼を受けたもの以外が入るという事は、永遠の幽閉を意味した。創造者であるが故、与えることしか出来ない聖族の特質から、幽閉は永遠の命を与えると共に、永遠に瞬炎の中で燃やされ続けるのだ。
 そして、存在する全ての世界でも、魔法陣に入る事を許されているのは、デュランダル本人だけであった。
 デュランダルが作業部屋にこもって数刻が過ぎ、太陽もその高度を大きく落とし、真赤だった空も真っ青な夕暮れに姿を変えていた。
 武器の完成を待つ間、リザードマンの英雄・ガルデュルはカウンターの武器のイラストを眺めたりしていたが、りきゅあが声をかけると、気さくに返事をし、日が暮れる頃にはりきゅあに稽古をつけるまでに仲良くなっていた。リザードマンという種族柄、表情には出ないが、なかなか楽しんでいるようだ。
 これまでも、りきゅあはそうやって、待ち時間の接客をしていたので、自然と人見知りをしなくなっていたのだ。そして、デュランダルもこれを十分承知していた。
 ガルデュルによる槍術講座の入門が終わろうとしたところで、デュランダルが姿を現した。その手には一本の輝く槍を携えている。
「おやおや、りきゅあはまたお客さんとお友達になったんだね」
 にこやかに笑いかけると、りきゅあは大きく頷く。デュランダルはりきゅあの頭をそっと撫でると、接客に戻った。
「さて、大変お待たせしました。りきゅあとも遊んでもらってしまって…仕事に集中できて助かりましたよ」
 ガルデュルはりきゅあに一瞥して、言葉を返す。
「なんと言うことはない。故郷の子供たちを思い出したよ。ここに向けて発ったときに卵だったのも、俺が帰る頃には、成人しているだろうな。
 それより、武器はどうなった?」
「成功ですよ。貴方のイメージ通りに仕上がりましたよ。属性は魔で、味方の魔族に対する士気向上。強力な消魔能力に、水辺での治癒能力と。こいつを持っていれば、水辺では無敵ですね。水辺でなくても、普通にミノタウロスクラスなら、確実に一撃で落とせますよ」
 ガルデュルは満足げに舌をちらつかせる。…表情が変わらないので喜んでいるかどうかは謎だけれど、言葉の端々から、大きな喜びが伝わってくる。
「後世に伝説の槍として伝わるだろう逸品です。人間たちが聞きつけたら、恐らく思いつく限りの卑怯な手で奪いに来ることでしょう。気をつけてくださいね。
 ではお渡しします。貴方がイメージした『魔槍 クゥィクトゥ・クェィン』です。ご武運を!」
 時は流れ、境界では人間同士の戦乱が相次ぎ、聖界では国家を護るため、護身のためと更に強力な武器を与えた。魔界の民も、戦乱に乗じて増えすぎた人間を討ち、抵抗にあっては敗れるということを繰り返していた。
 場所は魔界の外れ。辺りはまさに荒れ野原。一本の木、二棟の小屋以外には留まるものはない。
 扉の上に看板のかかった小屋の前には二つの人影。一つは漆黒のマントの青年、一つは丈の短いワンピースの少女。
 この小屋の住人に、噂の風がガルデュルの死を伝えた。
「ガルデュル…あのリザードマンの英雄も人間に…そうですか。ひぃ、ふぅ、み…」
 青年は目を瞑り、風に耳を澄ましながら指折り数える。
「…八年ですか。あっけないというか…聖界の輩もずいぶんと人間に甘い…」
 青年は言い、自分を見上げる少女の肩を抱く。
「りきゅあも境界に行くときは気をつけなければね」
「へーきだよ!アタシ、誰にも負けないモン★」
 ネコ耳の少女は、屈託のない笑顔で言い切った。するりと青年の腕から抜け出すと、くるりと身を翻し、お尻を付き出す。少女の赤紫色の髪が、丈の短いワンピースが、ふさふさとした白い尻尾が風に舞った。
「アタシはお姫様になるんだから、たーッくさんのナイトが護ってくれるもん★」
 言いながら、大きく両手を広げる。
 そんなりきゅあの姿に、デュランダルは微笑み、頷いた。
「さて。それではお姫様、魔槍がまた人間の手に渡ったことだし、お姫様にも創造の力をマスターしてもらおうかな」
 聖族が境族の人間に次々と武器を与える限り、魔族の兵力を強化しなければならないという葛藤が彼にはあった。聖族が「護る為の武器」を創る限り、堕ちた天使は「魔族に力を与える武器」を創り続けなければならなかった。
 デュランダルの言葉に、りきゅあは喜びを弾けさせた。
「やったー!アタシもいっぱい作るぞぅ!」
「ほらほら。これから一杯勉強して、それで作れるようになるんだよ。
 さ、小屋に入って。りきゅあが創造するために、やらなきゃいけないことがあるからね」
 二人は店舗の小屋に入り、デュランダルはりきゅあを椅子に座らせた。りきゅあは、目の前に立つ青年を、大人しく見上げている。
「さて、今からりきゅあも、作業部屋の魔法陣に入れるようにしてあげるからね。魔法のお薬を上げるから、ちゃんと飲むんだよ。さ、それじゃ目を閉じて、お口を開けて」
 デュランダルの言う通りにりきゅあは口を開けて待っている。
「そうしたらベロを出して。一適、魔法のお薬を落としま〜す」
 デュランダルは豪快に差し出されたりきゅあの舌の上に指をかざすと、古い魔法後で何かを短く呟くと、指先が小さく裂けて、その傷口から一滴、りきゅあの舌に輝く雫が落ちた。輝く雫は、一瞬にして舌に吸収され、りきゅあの体温をぽっと上げた。その短い間に、デュランダルの指先の傷は、驚く速さで塞がっていった。
 デュランダルは雫が消え、指先の傷口が塞がったことを確認すると、りきゅあの頭を撫でた。
「はい、お〜しまい。魔法のお薬はおいしかったかな?」
「ん〜、なんかね、ちょっとポカポカ★これでアタシも作れるの?」
 りきゅあがマントを引っ張ると、いいや、と首を横に振った。デュランダルは作業部屋に移動し、りきゅあを呼んだ。そして扉を閉めると、二人は怪しく光る魔法陣の中央に立った。
「さっきのお薬は、この魔法陣に入るためのものなんだ。武器を作るためには、コイツを使う」
 そう言って、デュランダルは部屋の中央の空中から瞬炎を取り出した。九つの炎の入り混じった、不思議な光の玉である。
 デュランダルは瞬炎について軽く説明し、ちんぷんかんぷんな表情のりきゅあに微笑んだ。
「ちょっとまだ早いかな。詳しいことは、後でまた勉強しようね。それじゃあ、試しに何か作ってみるかい?」
「うん!むずかしーのはあと、あと!
 アタシね、ミルディンさんみたいなわっかのピアスがほしーの!」
 ミルディンことミルドアとは、魔都のナンバーワンの踊子で、魔都に行く度に遊び感覚で踊りを教わっている、りきゅあの踊りの先生である。魔猫の女性で、艶やかな七色の毛並みと艶かしい腰つきに、魔都の男性の視線を集めていた。容姿は直立するネコといった感じで、二対の耳と三本の尻尾があり、左側の耳の一つは、『愛の証』として昔の亭主に食いちぎられ、失っていた。りきゅあが気に入っているわっかのピアスとは、その残った右側に着いているものだった。
 笑顔でマントをぐいぐいと引っ張るりきゅあを見下ろしながら、デュランダルは微笑む。
「どんなピアスだったか、りきゅあがちゃんと覚えていれば、創る事は出来るからね。
 さあ、それじゃあ瞬炎に手をかざして…」
 デュランダルがりきゅあの手を引くと、反射的にりきゅあは引っ込めてしまった。
「燃えてるけど、熱くないの?だいじょうぶ?ヤケドしない?」
 少女の素朴な質問に青年は笑い、大丈夫、といって、少女の手を引いた。
 二人は向い合せに立ち、四本の手が瞬炎にかざされた。瞬炎は静かに怪しく燃え盛っている。
「さあ、ミルドアさんのピアスはちゃんと思い出せたかな?りきゅあがイメージできたら、こう唱えるんだ。瞬炎さん、お願いします、ってね♪」
「ウン…」
 りきゅあは目を瞑り、しばらくイメージした後に呪文を唱えた。
「またたびサン…お願いしまぁス★」
 すると、瞬炎はいっそう燃え盛り、九つの炎は、個々の色を識別できないほどに絡み合い、混ざり合った。炎の勢いは留まることを知らず、さらに激しく、さらに個々の色を失っていく。
 瞬炎の炎が激しい速さで渦を巻き、色を失った炎は、その炎としての形も失っていき、渦の中心には一つのリングピアスがの浮いていた。金色のリングピアスで、ハートのチップが一つぶら下がっている。このハートのチップには、デュランダルがりきゅあを護るための、ありとあらゆる守護効果が付与されていた。もちろん、そのことをりきゅあには明かすことはなく、いつもの様に微笑んで、私からのプレゼントだよ、とだけ言った。
 向い合った二人の手の中に浮かぶピアスに、りきゅあは笑みを抑えきれないようだ。笑顔のまま、何度もピアスとデュランダルの顔を交互に見た。早く手に取りたくて仕方がない様子なので、デュランダルはそうさせることにした。
「さあ、りきゅあ。完成の呪文を言い終わったら、手に取れるようになるからね。完成の呪文は、瞬炎さん、ありがとう。さ、言ってごらん」
「またたびサン、ありがとぉー★ワぁ〜いっ★」
 りきゅあは完成の呪文を言い終わるやいなや、ピアスに飛びついた。手のひらに収まったピアスを見つめては、喜びの笑顔をこぼすのだった。
 もちろん、お願いします、や、ありがとう、なんて呪文は存在しない。りきゅあがそれに気づくことは、この先もずっとなかった。
「上手に出来たね。まるで、初めてじゃないみたいだ」
 デュランダルはりきゅあを褒めちぎり、りきゅあは出来上がったばかりのピアスを自慢する為だけに魔都へ連れて行ってくれるようにねだった。
「それじゃあ、ミルドアさんにピアスの穴も開けて貰おう。私よりも馴れているだろうし」
「ウン!それじゃあ、れっつご〜ぅ!!」
 りきゅあの掛け声と共にデュランダルの漆黒のマントの下から純白の翼が広がり、二人を包み、次に翼を開いたときには魔都に着いていた。
 りきゅあは酒場に走り、ミルドアの楽屋になだれ込み、自慢し、ミルドアのショー前のひと時を過ごした。もちろん、ミルドアの楽屋から出てきたりきゅあの耳には、りきゅあの処女作のピアスが輝いていた。
 







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